家庭の害虫編

−−−−日本の主な家庭の害虫−−−−

ゴキブリ

 家に出てくるのは、クロゴキブリかワモンゴキブリです。食堂などで見かける小ぶりで茶色いのはチャバネゴキブリと呼ばれる種類です。クロゴキブリは1世代3年ぐらいかかり、成虫になるのに9回以上も脱皮します。一方、チャバネゴキブリは1世代3〜5ヶ月で10日に1回ぐらいの割合で卵を産むので、増殖が早いゴキブリです。左の写真はクロゴキブリで、羽がなくて茶色っぽいのは幼虫です。右の写真は羽化直後のクロゴキブリ。数時間たつと色がついてきて濃茶色になりますが、羽化直後は白色です。

ハエ

 日本には約3000種類のハエがおり、いずれも不快感を与えます。幼虫はウジムシと呼ばれ、腐った動植物を主に食べています。成長が早く、卵→幼虫→さなぎ→成虫のサイクルを夏の暑いときには1週間程度で繰り返します。種によっては病気の媒介や悪臭を放つなどの被害を起こすこともあります。

 カはハエと同じ仲間の昆虫です。日本には約100種類のカがいますが、人を刺すのはその一部に過ぎません。幼虫はボウフラ、さなぎはオニボウフラと呼ばれることもあります。人を刺すのはメスだけで、卵を作るために必要な栄養を摂取しています。かゆみを伴い、マラリアや日本脳炎など重大な病気を媒介することもあるので、嫌われ者です。夕方、多くのカが飛び回って蚊柱を作っていますが、これがオスです。蚊柱の羽音を聞き分けたメスが寄ってきて交尾します。

ノミ

 世界に約3000種類のノミがいます。人を刺すのはヒトノミ、ネコノミが主ですが、最近はヒトノミが激減しほとんどの被害はネコノミによって引き起こされています。卵→幼虫→さなぎ→成虫と成長する高等な昆虫で、その生育期間は1ヶ月程度と短い。昔は恐ろしい病気であるペストを媒介するケオプスネズミノミという種類が猛威を振るいましたが、今はほとんど見られなくなっています。最近ではペットにつく害虫として問題となっています。

アリ

 日本に約300種類のアリがいます。ハチと同じ仲間で、シロアリは別の種類です。家の中に行列を作って入ってくるのはヒメアリやトビイロケアリの場合が多いようです。これらのアリは甘いものを好み、砂糖や菓子などを好みます。外で見かける大きなアリはクロオオアリで、時に人を噛みます。
 女王を中心に働きアリや兵隊アリなど仕事を分担して生活しています(社会性昆虫)。夏には羽の生えた雄と雌が生まれてきて、巣立ちし、交尾して新しい巣を作ります。その際、羽アリは灯火に集まる性質があるので、家屋内に侵入し不快感を与えることもあります。

アズキマメゾウムシ

 写真の茶色い物はアズキマメです。小さな虫ですが、分類的にはカブトムシと同じ仲間になります。家庭にある食品を食い荒らす害虫は色々いますが、この虫の仲間の場合が多い。乾燥したところに貯蔵するなどの工夫が必要です。

シバンムシ

 この虫も小さな甲虫類です。穀物やそうめんといった乾燥した植物質や畳などを食べます。家庭でよく見かける害虫です。食品や畳に殺虫剤を使うことは歓迎されないので、汚染されたときは捨てるしかないでしょう。畳の場合は高温で加熱処理する方法もあります。

シミ

 世界に200種類ぐらいのシミがいると言われています。体長は1センチぐらいの原始的な昆虫で、卵から生まれて月に1度ぐらい脱皮するが、形は変わらない。羽はない。寿命は7年ぐらいといわれている。紙や衣類を食べるので、問題となる。また、台所付近をウロウロしていて、非常にすばしっこく、不快感を与えます。

カツオブシムシ

 雑食性の小さな虫で、特に動物性の物を好みます。家屋内に入り込んで、羊毛や革を食べることがあるので問題となります。しかし、羊毛だけでは成長することが出来ず、他の養分を求めて汚れている箇所を好んで食べます。台所に入り込んで穀物などを食い荒らすこともあります。

イエシロアリ

 シロアリは世界に2500種ぐらいいると言われており、アリとは違う仲間の虫です。日本で最も問題になっているのはイエシロアリとヤマトシロアリです。木造家屋を食べ荒らし、時には竹やビニール、コンクリートまで食べてしまいます。梅雨の季節に羽アリが出てきて、雄と雌が出会い、新しい巣を作ります。女王と王はその後、1日に何百個もの卵を産み、10年以上も長生きしてどんどん巣を大きくしていきます。働きアリ、兵アリに分化して社会を構成するのはアリと同じです。

クモ

 クモは脚が8本で触覚がなく昆虫とは別の種類の動物で、日本には1000種類ぐらいいます。どんな種類のクモが家の中に入ってきても不快感を招きますが、害虫を食べてくれるので益虫でもあります。網を張るクモは、その網自体が不潔感をあおりますが、カ等を食べてくれるわけですから、少しぐらいは目をつむってやって欲しいものです。写真のコアシダカグモは全長10センチぐらいある大きなクモで、時に家の中に現れて大パニックを引き起こしますが、実はゴキブリを食べてくれるありがたいクモです。何年か前にセアカゴケグモが話題になり、おそらく日本に定着したと思われますが、おとなしいクモなので特に心配いりません。

ムカデ

 ムカデは肉食で、小型の昆虫やミミズなどを食べています。針や毒をもつ者が多く、時に人を刺して問題になります。また気持ち悪い形をしているので不快感の強い動物です。脚の数は種類により違い、30本ぐらいから340本もある種類もあります。殺虫スプレーは効きにくく、身体が固くて叩いてもなかなか死なないのでやっかいです。

ワラジムシ

 普段は落ち葉などを食べており、なにも害はなく、また人の役に立つこともない。屋外で見かけても不快には思わないが、家の中に入ってくると見た目が気持ち悪いので不快感を与えます。寒い地方では越冬のため家屋内、特に風呂場にゾロゾロ入ってくるので不気味がられています。

メクジ

 体長は5センチぐらい、大きいものだと10センチぐらいになることもあります。植物の新芽などを食べている。よく見かけるので、別に不快感はないが歩いた後に粘液が残るので、それがいやがられることもある。また、家に入ってくると不快視される。塩や砂糖をかけると死ぬが、後がきたなくなるので、つまみ出すのが一番でしょう。

ゲジ

 俗にゲジゲジと呼ばれ、不快な動物の王様です。写真を見ただけでも寒気がする人もいることでしょう。日本には4種類のゲジがおり、市街地で見かけるのは5センチぐらいのゲジ。10センチぐらいの大型種はオオゲジという種類です。脚は30本で素早く動き、小昆虫やクモなどを捕らえて食べています。夜行性で、よく家の中にも入ってきます。脚は取れても脱皮すれば、また元通りになります。

農薬ネットトップページへ戻る