害虫編

−−−−イネの主な害虫−−−−

コブノメイガ

 成虫は体長1センチぐらいの小さなガ。7月頃、中国・東南アジアから風に乗ってはるばる日本までやってきます。日本の水田で増殖し、その幼虫が葉っぱを食べてしまいます。葉を巻いてその中に潜むので、薬がかかりにくく防除が難しい虫です。1年に2〜3世代を繰り返します。収量に与える影響の大きな害虫です。日本では寒すぎて越冬することができず、全滅してしまいます。

トビイロウンカ

 イネにとって最大の害虫がこの虫です。過去の大飢饉の原因にもなった虫で、大発生すると田が全滅することもあります。中国・東南アジアから飛来してくる虫で、運良く日本にたどり着いた成虫は続々と子供を産みだし、猛烈に増殖します。体長は5ミリぐらいでセミの仲間(半翅目)です。こいつも越冬することができず、冬には全滅してしまいます。
 変わった生態をもつ虫で、まずは飛ぶことの出来る羽をもった虫がやってきて(写真左)、イネに到達すると次の世代からは羽の短い虫(写真右)が続々生まれてきます。どんどん増えて密度が限界に達すると、また羽の長い虫が生まれてきて次のイネへと飛んでいきます。

イネミズゾウムシ

 1970年代にアメリカから侵入してきた害虫です。体長は1センチ以下の小さな虫です。田植え直後の小さなイネを食べます。食べられたイネは成長しても十分に茂ることが出来ず、穂の数が減って減収してしまいます。1年に1世代だけです。

ホソハリカメムシ

 カメムシ類は成虫も幼虫もイネの穂に寄生して、もみの汁を吸います。収穫された米にはその跡がついて、褐色や黒色になってしまい、商品価値が無くなってしまいます。冬の間は他の草や樹の上で越冬します。そして、春から色々な植物の汁を吸いはじめ、夏頃にはイネにやってきます。

−−−−野菜・果樹の主な害虫−−−−

アブラムシ類

 何を育てても、必ず出てくるのがこの虫。作物によってアブラムシの種類は異なる。どこからともなく飛んできて、ものすごい数が密集して吸汁するので、植物は全体に元気が無くなってしまいます。また、ウィルス病を媒介する困り者です。
 春に羽のある雄雌が卵を産みます。卵からはメスだけが生まれてきて10日ぐらいで成虫になります。今度は卵ではなく直接幼虫が生まれてきます。その幼虫は雌ばかりで、また幼虫を産み出します。それを年10回位繰り返すので、あっという間に密集が出来上がります。そうなると羽のついた虫が生まれてきて、次の植物へと飛び立っていきます。

あおむし類

 蝶の幼虫です。キャベツや大根の葉などを食べます。食欲旺盛な虫なので、多発すると収穫が無くなってしまうこともあります。しかし、蝶は1枚の葉に1つの卵しか産まないので、密集することが無く、あまり大きな問題にはならない虫でもあります。年4回ぐらい発生し、さなぎで越冬します。

コナガ

 写真右側は体長1センチぐらいの幼虫です。小さな蛾(粉蛾)ですが、増殖が早く、年間10回以上世代を繰り返し、大きな被害をもたらします。このような世代を繰り返すのが早い虫は、殺虫剤に対する抵抗性がつきやすく、防除するのが困難です。

チャノコカクモンハマキ

 ハマキは葉巻ですね。文字どおり糸を吐いて葉っぱを巻いてその中で暮らしています。お茶の新芽を食い荒らし、商品価値が無くなってしまい、また、ブドウなど茶以外の作物にも寄生します。葉っぱの中には薬剤がかかりにくいので、なかなか薬剤では防除することが難しい虫です。お茶は栽培面積は少ないですが、商品価値が高いので、この虫による被害金額は大きなものとなります。

コガネムシ類

 コガネムシはカブトムシと同じ仲間で甲虫類に属します。色々な種類がいるので、色々な作物に加害します。成虫は葉や実を食べ、幼虫は土中で根や腐植土を食べています。主に果樹や野菜の害虫ですが、年1回の発生で、比較的薬剤に弱いので、大きな問題にはなりにくい虫です。ただし、ゴルフ場の芝にとっては非常に重要な害虫です。

アザミウマ類

 体長1ミリ程度の小さな虫で、なかなか発見することができない困り者です。主に果物の実に加害し、皮が痛んだり、形がいびつになったりして、商品価値が下がってしまいます。成虫で冬眠し、春は葉を食べて成長し、卵を産みます。そこから生まれた新成虫は実を食べ、秋には冬眠に入ります。

ハダニ類

 体長1ミリ以下。ダニは昆虫ではなく、脚が8本あり、クモの仲間です。植物の葉を食べ、食べられた植物は全体に元気が無くなってしまいます。年間10世代以上で、非常に増殖が早くて殺虫剤抵抗性がつきやすく、防除が難しい。昔は問題になっていませんでしたが、農薬が使われだして他の害虫が防除され、本来それらの虫との生存競争に負けていたハダニ類が増殖できるようになり、皮肉にも問題害虫となりました。

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