∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞     ○◎●  週刊                   ●◎○    ○◎●   正しい農薬の知識を身につけるマガジン  ●◎○   ○◎●          第33号 2002/9/15 発行   ●◎○   農薬に関する話題を中心に農業や環境問題を考えるメールマガジンです。   「農薬ネット」http://nouyaku.net/index.htmlと連動しています。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  主婦や学生でも安心して読めるように極力簡単に説明するようにしています。  メールマガジンに対するご意見はtateki@nouyaku.netまでお気軽にどうぞ。 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡  このメールマガジンのバックナンバーは以下のHPで見ることができます。  http://nouyaku.net/mag/MAGAJIN.html  農薬に関する話題は農薬掲示板へどうぞ。たいへん盛り上がっています。  http://www.nogyo.co.jp/cgi-bin/12ch/nouyaku/index2.html ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ ★★ 第33号の内容 ★★  【発ガン性のある農薬なんか食べちゃって大丈夫?】  無登録農薬の使用は多くの消費者を不安に陥れています。 でも、大丈夫。その理由を説明しましょう。 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ ●無登録農薬スキャンダル、現在の状況●  農薬取締法の改正が取りざたされ、なんとなくニュース的には幕引きへ向かっ ていますね。しかし、今後続々と特集番組や特集記事が出ると思うのでまだまだ この話題は続きそうです。  そんな中こんなニュースが・・・・ http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020916-00000081-mai-soci 〜〜〜〜〜〜〜〜〜 <無登録農薬>肥料業者、河川敷に29キロ投棄 奈良  奈良県は15日、同県田原本町の肥料業者が、発がん性が指摘されている無登 録農薬の殺菌剤ダイホルタン(商品名・ホールエイト)29キロを同町八田の大 和川河川敷に投棄していたと発表した。県は回収などの対策を取り、「環境への 影響はない」としている。業者には営業自粛を指導した。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜  ・・・・・もうねぇ、なにを考えているのやら。こんな低モラル業者が出てい るようじゃ、いつまでも信頼は回復できないですよ。厳罰を望みたいですね。  ただ、無登録農薬問題に関する現場での情報不足。魔女狩りを思い出させる一 部マスコミの対応などこのような業者を生み出す素地はありますよ。そういった 環境整備も行って欲しいですね。 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ ●妊婦さんの悩みとそれに対する回答●  無登録農薬の問題が出てから、農薬ネットに2人の妊婦さんから問い合わせが ありました。その内容を要約するとこんな質問になります。 〜〜〜〜〜〜〜〜 無登録農薬が最近問題になっていますが、現在妊娠中でとても気がかりです。 いままで食べていたものがとても心配です。 妊娠中に食べていたもので、無登録農薬のものがあった場合、普通の量だとして も胎児に影響が出ることはあるのでしょうか? 〜〜〜〜〜〜〜〜  今問題になっているプリクトランは催奇形性の疑い、ダイホルタンは発ガン性 の疑いがあるわけですから、知らずに食べていたけど大丈夫かという疑問は当然 のことですね。この質問に対する回答は以下の通り 〜〜〜〜〜〜〜〜  まず、今回の事件は無登録農薬を販売・使用したこと自体がとがめられている のであって、今のところそれら農作物からプリクトランが高い濃度で検出された という話は聞きません。つまり、仮にプリクトランを使った梨を購入していたと してもプリクトラン自体の残留があったというわけではありません。分解しやす い薬剤であり、残留量は心配する量ではなかったでしょう。  次に実験により果樹などの場合、農薬は皮をむくことにより99%以上除去さ れることがわかっています。  また催奇形性というのは妊娠の初期(2〜4ヶ月、特に4〜7週)に問題とな る特性です。その時期以降は薬剤による催奇形性についてはあまり考えなくても 良いでしょう。ですから、妊娠期間中の全てが問題になるわけではありません。  さらにプリクトランは催奇形性に関するデータに問題があり失効しましたが、 その後の実験により催奇形性は問題ないとされており、現在も日本以外の国では 使われているところもあります。また催奇形性試験というのは毎日エサに混ぜて 実験するものであり、1回2回の接触について考えるレベルのものではありませ ん。  これらの点から考えて、妊婦さんにとって梨を食べたことが胎内の子供に影響 を及ぼすとは考えられません。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ●発ガン性ってどういうことなの?●  「発ガン性のあるダイホルタン」が知らずにあっちこっちで大量に使われてい た。これじゃ俺達は長生きできない、みんなガンで死ぬ。馬鹿農家のせいで日本 人の寿命は縮まった・・・・なんて論調が消費者に近いサイドでは出ていたりし ます。頭の中に浮かんでいるイメージは「発ガン性物質とは細胞をガン細胞に変 えてしまう物質」「体内に蓄積していつまでも作用する物質」といった感じです。  こんな事件が起こったわけですから当然不安ですよね。  しかし、発ガン性試験というのは動物に毎日考えられないほど多量に与え続け て、その結果を持って判断している試験なのです。例えば、ダイホルタンの場合、 1000mg/kgを2年間毎日与え続けるとガンの発生が認められたが、300mg/kgの量 では認められなかったとなっています。  300mg/kgといえば体重50キロの人間なら毎日15グラムのダイホルタンを食 べ続けることになります。一方、ダイホルタンを使ったナシが市場を出回ってい て最大量のダイホルタンが残留していたとすれば5ppmぐらいでしょう。これはナ シ1キロにダイホルタンが5mg入っていると計算されます。毎日15グラムのダ イホルタンを摂取しようと思えばナシを毎日3トン食べないといけない計算にな ります。  しかも、5ppmも残留するということは実際にはあり得ないと思われます。ほと んど全てが検出不可、出ても0.1ppmのオーダーでしょう。  つまり、違法な農薬使用をした農作物を時々口にしていたとしても毒性的には 全くと言っていいほど心配しなくていいんですね。 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡  じゃぁ、なんでダイホルタンやクリプトランは使っちゃダメなのか?それは日 本ではどんなに高薬量の試験でも発ガン性や催奇形性が認められればダメという ことに決まっているからです。つまり判断基準が基本的に○か×なんです。  このことが輸入農作物で問題になることがあります。アメリカなどでは発ガン 性についても基準を設けており(詳細はまた別の機会に)日本とは考え方が違う のです。  日本はこの点についても規制緩和すべきだと私は考えています。「発ガン性が 認められても、その量や摂取経路から考えて実質的に問題はない」という価値基 準を認めるべきだと思います。そうしないと今後色々な問題が起こるような気が します。 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●  無登録農薬の件は「安心!?食べ物情報」というメールマガジンでも取り扱わ れています。たいへん勉強になるメルマガなので購読をお勧めいたします。   http://food.kenji.ne.jp/ ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡  メールは tateki@nouyaku.net まで  HPは http://nouyaku.net/index.html  配信数は 2154部です。  無断転載はお断りいたします。メールくだされば許可します。 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡