∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞     ○◎● 隔週刊                   ●◎○    ○◎●   正しい農薬の知識を身につけるマガジン  ●◎○   ○◎●          第25号 2002/7/8 発行   ●◎○   農薬に関する話題を中心に農業や環境問題を考えるメールマガジンです。   「農薬ネット」http://nouyaku.net/index.htmlと連動しています。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  主婦や学生でも安心して読めるように極力簡単に説明するようにしています。  メールマガジンに対するご意見はtateki@nouyaku.netまでお気軽にどうぞ。 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ ◆◆◆ おそとだいすき でんしゃだいすき ◆◆◆  洸樹くんの子育てられ日記 → http://www2.diary.ne.jp/user/92852/ ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ ★★ 第25号の内容 ★★  【野生生物と農薬について・その2】  前号(第24号)の続きです。  いわゆる野生生物と農地に住み着いた野生生物は分けて考えるべきではないで しょうか。この考え方は必ずしも一般的ではありません。ですから、今回のメル マガはたてきの考え方の一端を示したものです。 前号をお持ちでない方は下記urlで取り寄せてください http://nouyaku.net/mag/vol24.txt ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡  【田んぼや畑は自然なのか自然ではないのか?】 ●田んぼは人工的に作られたものなので自然ではありません。でも、ビルや道路 とは異なり、水があり植物があり四季もあり、多くの野生生物がそのリズムに合 わせて住み着いているのも事実です。そして何十年何百年にわたってそれらが維 持されています。ですから、田んぼや畑に現れる野生生物は農業と密接な関係が あることから、それらを合わせて「農業生態系」と呼ぶ場合もあります。  人間という生物が地球に自然発生し自然に発展したとするならば、農業生態系 も自然の産物と見なすことも可能でしょう。この理屈で行くと東京のオフィス街 に住み着いたノラネコやカラスやゴキブリも「東京生態系」と名付けて自然であ るとしなければいけませんが・・・まぁ、直感的に区別できると思います。 ●田んぼが田んぼになる前、森や沼が広がり多様な生物が人知れず暮らしていた はずです。しかし、人間が田んぼにしてしまったのでそれらの多様な生物群は消 えて無くなり、新たに田んぼに適合した生物が大いに数を増やして繁栄すること になりました。人間から害虫と呼ばれるようになったメイチュウやウンカがそう ですし、メダカやカエルやカブトエビも同じく繁栄することになりました。  これらの生物の繁栄は人間の田んぼでの活動と密接に関係しています。例えば、 稲作を行わない年があれば、その年はエサも水もなくほとんどが死んでしまいま す。次の年に稲作が行われることを期待して細々と子孫を残すのが精一杯です。  逆に稲作が行われ水が入った田んぼには、多くの魚や水生生物が孵化したり入 ってきたりして繁栄しますが、中干しで水が抜かれてしまえば一転してみんな消 えて無くなってしまうことにもなります。  このように農業生態系で繁栄するためには様々な障害があります。それらを乗 り越えていく性質を備えた生物じゃないと生き残って行けません。  【野生生物の繁殖法は多種多様】 ●人間は一対の男女が一生の間に1〜10人ぐらいの子供を産み、その子供全て が成長するように努力することで次世代を残していく作戦をとっています。  一方、ほとんどの野生生物は非常にたくさんの卵をうんで、ほとんど全てが他 の生物に食べられたり、乾燥やエサ不足で死んでしまいます。そしてかろうじて 生き残った個体だけがおとなになって次世代を残すことができます。  また野生生物はエサの量がその数を決める要因となります。たくさん生まれれ ばエサが足りなくなって餓死してしまい、すると数が減るのでエサが足りるよう になり安定します。逆に数が減るとエサが豊富になるので生き残る確率が上がり、 また栄養状態が良くなるので産卵数が増えたりします。  【田んぼの野生生物の数はなにで決まる?】 ●上の段落で書いたように野生生物はいろんな理由でドンドン死んでいきます。 いろんな理由の中には農薬の散布も含まれます。どんな農薬がまかれたにせよ大 なり小なり田んぼの生物には影響が出ます。農薬によって中毒死するものもいる し、農薬散布により虫が減ってエサが無くなってしまい餓死するものもいるでし ょう。  問題は農薬により次世代を残すことができないほどの影響が出ているのかどう かです。ところがこのことは簡単にはわかりません。全ての農薬について全ての 野生生物に対して影響を調べることは事実上不可能であり、しかも農薬の散布時 期によって出現している野生生物の種類も違ったり、地区によって年次によって 栽培の管理方法によっても違ってきます。  代表的な野生生物に対して毒性試験を行い、単純に毒性の強弱を調べます。た だ、その数値が高い低いからといってそれがそのまま影響の大小につながるわけ ではありません。その数値と各野生生物の生態やその農薬の施用方法を照らし合 わせて影響を予測するしかありません。そして、あまり問題はないであろうと予 測された場合も、実際に使用している田んぼの観察を行って、どのような影響が あるかを検証していく作業も必要です。  逆に影響がありそうなデータが出ても、実際の散布時期や方法などと照らし合 わせて考察しなければならないし、毒性というのは「毒性の強さ×接触時間」で 表されるので、どの程度の接触時間になるのかも見て判断しなければなりません。  【結論】  2回にわたって野生生物と農薬の関係を書いてきましたが、結論を箇条書きに して締めくくります。  1,野生生物を農業生態系に含まれるものとそうでないものに分けましょう。  2,農業生態系に含まれないものは農薬によって影響が出ないように。  3,含まれるものはある程度の影響を受けるのはやむを得ない  4,しかし、その影響が種の滅亡につながるようであれば絶対にダメ  5,野生生物の繁殖法は多彩であり、人間の常識では見ないように  6,農薬の野生生物への影響を調べるのは簡単ではない  7,実使用場面でなにが起こっているか常に観察することが大切   ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡  2回にわたってちょっと難しい話だったかもしれません。 次回は中国野菜の話題でもやって、主婦の興味を引くようにしましょうか(^_^;) ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡  メールは tateki@nouyaku.net まで  HPは http://nouyaku.net/index.html  配信数は 1849部です。  無断転載はお断りいたします。メールくだされば許可します。 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡